<第四夜> 天心は「くまのプーさん」か?

 茶番ゆわれたら、茶番かもな。
 
 どうも海外のメディアは、天心を知らんかったせいもあって、ごっつ批判的やけど、こっちとしては真逆で、メイウェザーのことは全然知らんかってん。
 
 ま、お互い無知やったとゆうたらそれまでやけど、考えてもみいな、おんなじ格闘技界とはいえ、「ボクシング」と「キックボクシング」は、そんだけ「異世界」やったんや。
 
 それで思い出したんが、昔ケータイのカタログの校正してた時、「ミッキーマウスくまのプーさんは、横並びにレイアウトしないで!!」て、ディズニーにゆわれたこと…。
 
 なんでも、ミッキーとプーさんは、おんなじディズニーのキャラクターでも住む世界がちゃうから、隣同士に並べたらアカンねんて。それが、それぞれのイメージを大事にしたいとゆう、ディズニーさんのこだわりやってん。
 
 ぶっちゃけ、それ聞いた時は大概やなと思たけど、考えてみたら今回の一戦は、まさにその掟を破ってもたんとちゃう? どっちがミッキーでどっちがプーさんかは、ここでは触れんとくけど…。
 
 ま、ディズニーの場合はお互いの存在が侵されることはなかったけど、メイウェザーと天心に関しては、どっちもその値打ちを下げてもたわな…。
 
 おまけに、今回の一戦はエキシビションやから、互いの戦績にはカウントされへんとはびつくり!! そんな試合で、900万ドルも貰えるんや!! 
 
 たとえばアマチュアの試合なんか、参加費払ろて出場するねんで。それでも勝敗はきっちり戦績として残る。たとえプロになったとしても、大多数の選手が大卒の初任給にも満たへんファイトマネーで試合してるねんで。もちろん、戦績にカウントされるんはゆうまでもない。
 
 なんか、おかしない? 
 
 確かにプロとしてデビューするからには、メジャーになってビッグマネーを手にすることが目的でもかまへんと思う。メイウェザーみたいなんがひとつの頂点で、多くの格闘家の目標であってもかまへんと思う。
 
 けどな、今回みたいな試合に憧れてたら、それはちゃうで。言葉でなんて表現したらええんか判らんけど、なんかこう、本質的なもんを見失ってるような気がする…。
 
 しかも、メイウェザーは「テンシンはまだ負けていない。彼はまだ本物のチャンピオンだ」てゆうてるらしいけど、それも詭弁!!
 
 なんぼエキシビションでも、負けは負け。 引退してるから「記録」に残らへんゆうても「記憶」には残る。人々の脳裏に焼きついたあの強烈なダウンは、これからも「記憶」として残り続けるねん。
 
 そもそも、そんな安っぽい言い訳で片付けられる試合やったんか? バカにするんも大概にしいや。
 
 あと、これは全てのチャンピオンに当てはまることやけど、チャンプが負けるとゆうことは、そのチャンプがそれまで倒してきた相手も負けるとゆうこと。せやから、メジャータイトルになればなるほど、重責なんや。そもそもそれが、ベルトの重みとゆうもんやろ? 
 
 自分一人が、負けて終わりとちゃうねん。あんたが倒してきた選手全員が、もいっぺん負けたことになるねんで。
 
 とゆうことは、九島 亮もメイウェザーに負けたことになるん?
 
 ああ、頂点とは因果なもんやな…。どっちにしても、一番狡猾で一番美味しい思いしたんがメイウェザーで、期待して応援して熱狂してた我々が、一番アホでええカモやったん?
 
 ええわ、カモで。
 

<参考リンク>
天心は「まだ負けていない」 圧勝メイウェザーは強調も… 米メディア「茶番劇」