<第三夜> おかんと観たRIZIN.14

 あけましておめでとうございます。
 
 それはそうと大晦日RIZIN。実は、おかんと一緒にテレビで観てましてん。
 
 それがあんた「足が動いてへん」「パンチが入った」とか、ぼそぼそ言いよるねん。おかしいな思て「おかーちゃん、ボクシング知ってんの?」て訊いたら「子供の時に、おじいちゃんとテレビで観てた」ゆいますねん。 

 当時、テレビゆうても家にはないし、なんや思たら喫茶店に置いてあるテレビ。要はボクシングでも相撲で野球でも、その時間になったら喫茶店にお客が集まって、そこに置いてあるテレビで観戦しててんて。ほんで、まだ子供やったおかんの傍で、おじいちゃんがなんやかや蘊蓄垂れるから、いつの間にかボクシングの見方を覚えたらしい。
 
 けどな、それもせいぜい娘時代までのことで、それからは別に取り立てて見もせえへん。たまにニュースで知る程度で、実戦なんか全然。おまけに息子と一緒に観るんは、たとえテレビにせよ初めてやってん。
 
 とゆうわけで、おかんが多少なりともボクシングの知識があるとは、こないだの大晦日まで知らへんだ「不肖の倅」やってん!!
 
 ほんで、いよいよ天心の試合…。もちろん、おかんは天心のことは知らんし、見るんも初めて。
 
「なんでこんな体格差あんの?」
「そおゆう設定の試合やねん」
「設定もなんも、こんなんあかんで」
「ちゃうねん、天心は強いねん。RISEでもRIZINでも、ずーっと勝ってるねん」
「勝ってても、こんな体格差あったらあかん…」
「せやから、そおゆう条件で受けた試合やねん!! 天心は格闘技界の神童やねん!!」
「神童かなんか知らんけど、顔ひきつってるやん」
「緊張してるだけや」
「こっちの黒い人は笑ろてるで」
「いっつもそやねん!!」
 
 と、説明してるうちにゴングが鳴り、結果はみなさんご存知の通り…。
 
「ほれ見てみい、おかあさんのゆうたとおりや」
 
 ボクシングはちょっと知ってるけど、天心のことはなんも知らん78歳の老母…そんな素人でも判った結果。
 
 逆に、何べんも天心の試合観て、それなりに知ってるがこそ、この一戦に期待してた息子…。
 
「今までいっぺんも負けたことない子が、こんな負け方して、精神的に立ち直られへんで」
 
 ま、それはないと思うけど、本人はもちろん周囲もファンも、それぞれがそれなりにショックやったんは確かや。
 
 年寄のゆうことは、聞くもんやな。
  
※おかんのゆう「おじいちゃん」は、自分の父親のこと。「おかあさん」は、自分のこと。

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RIZINウェブサイトより